Naniwa Whetstone
Brand Identity Design
Art Direction
Package Design
日本の砥石文化を、世界に届ける
刃物の切れ味を回復させるための研ぐ作業に使われる砥石。世界に類のない独自の進化をとげてきた日本の砥石は、食材そのものの食感や味を引き出すための、包丁の切れ味にこだわる和食に欠かせない道具です。
和食が世界に浸透し、海外で日本料理のみならず各国料理のシェフの間でも日本の砥石の普及が進んでおり、さらに成長が見込まれています。
ナニワ研磨工業では、かねてより海外向けの砥石製品を販売していましたが、NANIWAブランドをより一層浸透・強化するため、海外向け製品のリブランディングを行うこととなり、-nessではそのデザインを担当しました。
Perfect Angle —
包丁の切れ味を最大化する
完璧な角度
それまでのパッケージデザインは、製品ごとに異なるデザインで、統一感に改良の余地があり、また製品ごとの特性もわかりにくい部分がありました。また伝統に偏りすぎた日本のイメージになっており、ターゲットである感度の高い海外のシェフが求める現代的で洗練された日本のイメージとの乖離もありました。
新しいパッケージデザインでは、古くから日本の作業着などに使用されていた濃紺をブランドのメインカラーとして設定。また研ぐ際の刃物と砥石の最適な設置角度の15度のライン—Perfect Angle—をキーエレメントとし、包丁の動きを感じさせるストライプのパターンで、それぞれの製品のイニシャルを描いて識別のアイキャッチとするデザインとしました。NANIWAブランドの伝統の象徴であり、海外でも浸透していた「エビマーク」も表示方法を整理し、現代的に見せています。
ビギナー用のBasic〜Standard、ミドルレンジのAdvance、プロ用の硬い刃物などにも使用できるProの違いは3段階のカラーコードで表現し、識別性も向上。研ぐことによる刃物の精緻な切れ味や日本の伝統を現代的な機能美で表現したパッケージに生まれ変わりました。
海外市場でトータルに伝わるしかけ
海外の販売店の状況に合わせてパッケージの情報も整理されました。砥石は海外の店舗で陳列される際には横に寝かされた状態で置かれ、箱の下の短辺の周辺がもっとも棚での視認性が高いため、消費者が選ぶ際に重要な情報である順に、粒度(粒子の細かさの違い)〜ブランド〜商品名を下から上に読めるようにまとめています。
Perfect Angle のラインパターンは、パッケージデザイン以外にも展開され、NANIWAブランドをプロのシェフに選ばれるツールとしてのプレゼンスを高め、記憶に残りやすくなっています。
研ぐことの楽しさを広める
ノベルティアイテムも砥石のミニチュア版のふせんや、砥石の形のメモパッドなど、新しい視点で砥石をとらえ、NANIWAの砥石を身近に感じてもらえ、砥石好きの心をくすぐるアイテムもデザインしています。
NANIWAブランドを
研ぎ澄ます
リブランディングはドイツで行われた世界最大の国際消費財見本市のアンビエンテに出展したブースで発表され、来場者からも高評価をえられました。
またこのブランディングとデザインの取り組みは、2023年度グッドデザイン賞、Pentawards 2023 Bronze Awardを受賞。世界的な評価を得られました。
リブランディングをきっかけに、NANIWAブランドはさらに研ぎ澄まされ、世界に広まることが期待されています。
Client: ナニワ研磨工業株式会社
Brand Strategy: Kenichi Nishiwaki / Global Branding Partners
Art Direction: -ness
Design: -ness